絵本 わかってるって
本日ご紹介するのは、2冊目のしもかわら ゆみさん絵本「わかってるって」。
表紙のアライグマちゃんがうちにいるぬいぐるみのアライグマちゃんにそっくり!と、迷わず手にしてしまいました(笑)
これは本の帯にあるとおり、がんばってるお兄ちゃん(お姉ちゃんももちろん可)とお母さんに読んで欲しい1冊です。
「おかあさん、ぼくと赤ちゃんどっちがすき?」はちっちゃい兄弟にとっては永遠の論争ですよねぇ。
私も覚えがありますもん。
特に私は弟が生まれるまでの6年間ひとりっ子だったので、弟が可愛いというより、大人の注目を一身に集める存在としてホントに疎ましかったなあ、と(こう書くとホントにひどい姉だな^_^;)
思えばひっついてくる弟をずいぶん邪険にしたものです。
大体にして、世のお父さんは娘に甘く、お母さんは息子に甘いとしたものですが、うちの親もこの典型でしたね。
なので、お母さんはあたしより弟の方が可愛いんだ、とわりと本気で思ってましたし。
この絵本を読むと、そういう子どもの頃の感情を鮮明に思い出しました。
でも、この絵本のお兄ちゃんは私よりずっとえらい。
弟が可愛いからお母さんの一言にあれ?と思っても我慢して、我慢して、いいお兄ちゃんでいようとします。
すっごく我慢してある日その感情が大爆発しちゃうんですけど、その時に流す大粒の涙が耐えきれなくてあふれ出ちゃった、というのがよく分かる描写で、これは世のお兄ちゃん、お姉ちゃんは絶対一緒に泣くな、というリアルさ。
その前の弟ばかり褒められて、無言でしょんぼりしてる姿もいたたまれないぐらい共感しちゃうんですが。
ところが、この絵本のすごいところはこのお兄ちゃんサイドだけのお話で終わらず、どんでん返しでお母さんがお兄ちゃんみたいに大泣きするところ。
ある日お兄ちゃんがいなくなった夢を見たお母さんは「どこー。おにいちゃんがいなくなっちゃったの。どこにいっちゃったのー。うぇぇぇーん」と大号泣。
お兄ちゃんをしのぐ泣きっぷりに思わずしょんぼりしていた気持ちも吹き飛ぶお兄ちゃんなのでした。
子育て真っ最中のお母さん方は、こんなにおおっぴらに感情爆発させて泣いたりできないでしょうから、是非この絵本を読んで発散してほしいな、と。
いやもう清々しいぐらいの泣きっぷりですよ(笑)
楓文庫さんともお話ししたのですが、しもかわらさんの絵柄ってリアル動物に近いのに、可愛さもあり、感情表現が豊かなんですよね。
普通はリアルに寄せていくと、可愛らしさとか表情ってあんまり出ない気がするんですが。
動物らしさと人間らしさをうまく融合した絵柄とストーリーです。
しもかわらさんの絵本、あと2冊手元にありますので、また近々ご紹介しますね。