Secret GardenⅡ

アンティークや可愛いもの、そして奈良とつよしくんが大好きです。

わすれられないおくりもの

今日もオーガニック・マーケットで購入した素敵な絵本をご紹介しますね。
スーザン・バーレイの『わすれられないおくりもの』はこれまでにも何度か見かけて、知ってはいたんですけど、改めて読んでみたら、何とも言えない気持ちになりました。


主人公のアナグマ(名前は特にない)は何でも知っている物知りで、森の仲間の人気者です。
でも、年老いてしまい、仲間と同じように二度と走り回ることはできないこと、自分の年だと、死ぬのがそう遠くないことも知っていました。
ただ、後に残していく友だちのことが気がかりで、自分がいつか、長いトンネルの向こうに行ってしまっても、あまり悲しまないようにと、言っていました。

ある日、夕ご飯を終え、机に向かい手紙を書きました。
それから、揺り椅子を暖炉のそばに引き寄せて、静かにゆらしているうちに、ぐっすり眠ってしまいました。

そして、ふしぎな、素晴らしい夢を見たのです。
翌朝、おはようを言いに来てくれないアナグマを心配した仲間が家を尋ねると、アナグマは死んでしまっていたのです。
「長いトンネルの向こうに行くよ。さようなら。アナグマより」という手紙を遺して。

森のみんなは、アナグマを愛していましたから、悲しまないものはいませんでした。
みんなはアナグマの不在に途方に暮れ、やがて、ぽっかり空いた心の穴を埋めるようにアナグマとの思い出を語り始めました。

モグラは1枚の紙からしっかりと手をつないだモグラを切り抜く方法を教えてもらったことを。

カエルはひとりで、立派にスケートを滑れるまでアナグマに習ったことを。

キツネは子どもの頃アナグマに教えてもらうまで、うまくネクタイが結べなかったことを。

誰にも、何かしら、アナグマとの思い出があり、その思い出は、アナグマと別れた後も、宝物となるような、知恵や工夫でした。

アナグマの遺してくれた贈り物の豊かさが胸を打つ物語です。