Secret GardenⅡ

アンティークや可愛いもの、そして奈良とつよしくんが大好きです。

Physical Contact

昨日の研修で面白いことがあったので、今日はそれについて書いてみようと思います。
私の仕事は専門職なので、研修で習ったことをそのままお伝えすると、普通の方には???なことが多々あると思うんですけど、これは皆さんも日常で体験されることなので、あまり堅苦しく捉える必要はないかと。(笑)

さて、まず最初に質問ですが、日本人がおじぎするときと西洋人が握手するときでは、自分と相手との間に生じる空間(bubble)はどちらが広いと思いますか?

日本人のおじぎ、と思った人?
えー、私も最初そう思いました。
だって、ほら、西洋人って挨拶する時に握手したり、ハグしたり、時にはキスしたり、と常にベタベタしてるイメージがあるじゃないですか。
ところが、意外や意外、西洋人の握手のほうがbubbleは広いんだそうです。

実際外国の方と握手したことがある方、なければ、映画でもテレビでもそういうシーンを見たことがある方は、それを思い浮かべてみて下さい。
「やあやあ」と近づいていきながら握手したあと、すっとお互い後ろに下がってませんか?
ということは、それ以上踏み込まれるとちょっと、と感じるPersonal Spaceを侵害しないようにちゃんと行動してるわけなんですね。

一方、おじぎのほうは頭を下げると意外と相手が近い、と思うことがありませんか?
わりに日本人同士のほうが他者との距離感が近いんですね。
しかも、おじぎって相手が頭を下げれば自分も同じように頭をさげればいいだけなので、挨拶としてはすごく簡単。

ところが、握手って意外とやってみると難しいんです。
まず、どっちから手を差し出すべきなのか悩みますもん。
初対面だと特に、こっちから行ってもいいものなのかどうか。
あるいは、握手する相手が異性だとぎゅっと手を握るのはどうなの?とか。
実際、行動に移すまでの数秒間に、そういうことを目まぐるしく考えちゃうわけですよ。
結果として、非常に中途半端な握手になる、という。(^_^;)

どっちから行くっていうのはもうその場の雰囲気というか、まあ、上下関係がある場合は目上の方から行くのが妥当なんでしょうね。

ただ、ぎゅっと握られたらぎゅっと握り返す、っていうところが実は大事なんですって。
相手はある種の親愛の情を込めて握ってるのに、そのリアクションがなかったらどうですか?
私も隣にいた人とペアを組んでやってみましたが、ぎゅっと握ったのに相手が返してくれないと、すごーく空しいというか、居たたまれない気持ちになりましたもん。(ぜひ、試しに誰かとやってみて下さい。すごいこの気持ちが体感できると思います。)

言い換えると、ぎゅっと握り返せない、ということは、相手のことを信頼していない、心を開いてない、ということになるんですね。

また、面白い例として、選挙活動中の政治家と当選後の政治家の握手の違いについても挙げてましたが、選挙活動中の政治家というのは有権者と握手をする時は、握った手の下にもう片方の手を必ずといっていいほど添えてますよね。
「どうかひとつよろしくお願いします」ってやつですよ。

ところが、当選しちゃうと、まさしく手のひらを返したかのように、「やあやあ。ご苦労だったね。」とばかりに握手を求める手が上からいって、がっつり相手の手を握る、というスタイルに変化するんですね。
へりくだっていたのが一気に上から目線に転じた、というのが握手ひとつをとっても丸分かりになる、という話に、人間の行動に潜む深層心理がすごくよく分かって面白かったのでした。

ちなみにこの大柄な握手をやり返す方法というのもありまして、上から目線で来られてカチンと来た場合には、下からもう片方の手を添えて「どうもどうも」と捻り返すと、ほーら、立場が同等に戻る、という。

あの取引き先相手の握手には前からムカついてたんだよな、ってなビジネスマンの方には是非このやり方をオススメします。(笑)

それから、こういった日常の何気ない行動に潜む深層心理を追求して具体化したのが演劇、というわけで、映画や舞台なんかをこれから見るときには、そういった体の動きにも注目してみると違った発見があるかもしれませんね。

最近ご紹介した、大杉正明先生の本↓にもアメリカ人同士の挨拶について述べてる箇所があるので引用しておきます。

CD付 大杉正明のCross‐Cultural Seminar (CD BOOK)

CD付 大杉正明のCross‐Cultural Seminar (CD BOOK)

So, even for American people, sometimes it's very hard to dicide which thing to do. Do you shake hands? Do you hug? It depends on the relationship. So, you know, with your close friends or your family, generally there is something that you'll do all the time, you know, kiss them on the cheek or give them a big hug, but if it's someone you don't know very well, that person might have a different style and it's often very difficult because you must decide in about, you know, one second as you're approching the person, what you're going to do and it can lead to some kind of awkward situations where someone may reach their hand out for a handshake and find the other person coming in for a hug, or perhaps a kiss. So, this can make for some very strange situations even in the US.

アメリカ人にとっても、この場合、握手なのか、ハグなのか、キスなのか、と迷う場面があるんですね。
相手との信頼関係の度合いによってそのやり方が変わってくるのは前述の通りですが、あまりよく知らない相手の場合、握手なのかハグなのか微妙ってことも。
自分は握手を求めに行ったのに、相手はハグしに来たりしたら、ちょっと気まずいですよねぇ。
そこにいくと、おじぎってやっぱり合理的な挨拶の仕方だよなー。