Secret GardenⅡ

アンティークや可愛いもの、そして奈良とつよしくんが大好きです。

Rakugo in English

3連休最終日も基本まったりおうちモードでした。
なにやら異様に眠いのですが。
春眠暁を覚えずならぬ、冬眠暁を覚えずか。(^_^;)
そこで、澱んだ脳(変な言葉だな)を活性化すべく、買ったまま未見だった英語落語のDVD↓を見ることに。

英語落語 RAKUGO IN ENGLISH [DVD]

英語落語 RAKUGO IN ENGLISH [DVD]

日本の誇る古典芸能を英語でやってしまう、という試みは近年、桂かい枝さんのアメリカ公演などでも有名ですよね。
前にもこのblogで触れたことがありますが、今を遡ること5年ほど前に、N〇K教育テレビでOAされていた『今から出直し英語塾』という番組が大好きだった私。
大杉正明先生扮するマスターのBarにやって来るお客さんのひとりとして出演していたのが、桂かい枝さんでした。
その番組中でも英語落語に取り組むかい枝さんの様子が時々取り上げれていて、それを見た私は英語落語に興味を持つようになったのでした。

落語という名前からも分かるとおり、基本的に落語のネタは落としどころがあり、大体は日本語の洒落がオチになってるんですよね。
英語では韻を踏むのが洒落に近いのかなーと思いますが、英語の場合は音の重なりを楽しむだけで、意味的にはまったくナンセンスですから、同音異義語によって生じる意味の相違でオチをつけて笑いに持っていくところは全然違います。
この辺りが、表音文字表意文字の最大の違いだと思うんですけど。

言語学的に見てもまったく違う上に、文化背景がそもそも違うわけですから、それをどうやって欧米人向けにアレンジするのか、という所に翻訳家、ならびに演者のセンスが問われるわけですが、今回見たDVDは実にうまくアレンジしてありました。
3人の演者の中に、ひとり抜群に英語がうまい人がいるなーと思ったら、なんとその方、コロラド州立大学ボルダーの卒業で、社会言語学のエキスパートだというのだから驚きです。
国際ユーモア学会とやらで(そんな学会があるのね)、日本人は面白くない、と言われたことをきっかけに落語の世界に足を踏み入れたそうですが、もとが学者さんだからか、彼女(大島希巳江さん)の創作落語である『花嫁修業』は中々エスプリが効いていて面白いです。
欧米人と日本人の結婚に対する価値観の相違をうまーく取り入れたストーリーになってます。

桂あさ吉さん演じる『時うどん』は古典落語の名作ですが、英語ヴァージョンになっても面白い。
欧米人にとって一番違和感を感じるであろう、音を立ててうどんをすする場面で一番大きな笑いを取ってる、ということは、価値観や文化の相違は必ずしも笑いの妨げにはならない、ということなんですね。
最初にこれを演じた時には、音を立ててうどんをすする場面というのは受け入れられないのではないか、と思ったそうですが、日本ではこの音が美味しさを表現するんですよ、というのを最初に伝えておくと、違和感なく受け入れてもらえる、ということに気付いたそう。
マナー違反として敬遠されるようなことでも、ユーモアに包むと抵抗感なく受け入れてもらえる、というところに、円滑な異文化理解を促すヒントがあるような気がします。

と、まあ、そんな小難しいことを考えなくても、英語になっても落語は十分楽しめます。
ただ、ちょっぴり必要なのは想像力ですが。
扇子と手ぬぐいだけを使い、扮装もせずに座ったまま語りから全ての登場人物をひとりで演じる落語って、実はかなり高度な想像力が要求されるんですよ。
扇子がお箸や刀に見えるのも、腰を浮かせて両膝を擦り合わせるだけで歩いているように見えるのも、全ては想像力のなせる業。
そんなイマジネーション溢れる落語を英語で楽しめたら、更に一石二鳥な気がしませんか?

You Tube桂かい枝さんの動画があったので、載せておきますね。
ほんのさわり程度ですが、英語落語の世界を覗いてみてください。