絵本 にんじんケーキ
先週、オーガニックマーケットにちょこっと寄ったので、楓文庫さんでまたまた絵本を物色。
今回は古書コーナーから↓の絵本を掘り出してきました。
コールデコット賞を2度受賞しているアメリカの児童文学作家でありイラストレーターでもあるノニー・ホグローギアンの「にんじんケーキ」。
初版は1979年発行ですから、かなり古い本ですね。
Easter前日にこの絵本と出会ったので、ちょうどEasterだしいいかなと思ったのと、素朴な可愛らしい絵柄に惹かれた、というのもあり、手にしたわけですが、購入の決め手はたまたま開いた最後の方のページが意外な展開だったから、という。
てっきりストーリーもほほえましいのかと思えば、案外大人、特に新婚さんカップルが読むのにぴったりかも、という内容でした。
これほど似合いの夫婦はウサギの国中探しても見つからないだろう、と言われた二匹のウサギが夢のような結婚式をあげました。
新婚生活を始めるにあたり、花嫁のお母さんは「旦那さんを愛し、尊敬する優しい奥さんにおなり」と言い、花婿のお母さんは「奥さんを愛し、労わっておあげ。悲しませてはいけないよ」と言いました。
2週間のハネムーンから戻ったふたりは、新しい生活を始めます。
料理をし、住みやすく家を整え、そして、お互いのことをもっと知ろうと、ある夕方散歩に出た二匹。
「何の話をしようか。」と旦那さんが聞くと、奥さんは「さあ、私、思いつかないわ」と答えました。
そこで、旦那さんが「今日街に行ったことを話そう」というと、「あら、そう」と奥さん。
それから旦那さんは今日あった出来事を順を追って話すのですが、何を話しても奥さんの返答は「あら、そう」ばかり。
「あら、そうしかいえないのかい」と言う旦那さんに、今度は「なんといったらいいのかしら」と奥さん。
チョッキを買ったんだから、「いいチョッキだわ。ボロボロになるまでそれを着て、気持ちよく過ごしてくださいな」と言いたまえ、と旦那さんが教えると、奥さんは従順に旦那さんの言ったことを繰り返しました。
ところが、旦那さんの話題が他に移っても、奥さんの返事はさっきと全く同じで、まるで旦那さんの話を聞いていないかのようにかみ合いません。
ただただ、同じことを復唱するだけです。
奥さんのズレた受け答えに、最初はいちいちこう答えなさいと教えていた旦那さんですが、「罠にかかって捕まったものの、なんとか一人で抜け出して、パン屋でにんじんケーキを買おうとしたところ、パン屋にのし棒で嫌というほど叩かれ、目玉が飛び出すかと思ったよ」と大変な目にあった話をしたにもかかわらず、前の話題で教えた受け答えにならって「友だちが来て、目玉を出してくれるわ」と言われてしまい、ついに旦那さんが怒りだしました。
すると、この通り、奥さんが旦那さんを追いかけて、棒で叩いたのです!
え?
悪いのは旦那さんの話に合った受け答えをせず、教えられたことをおうむ返しに言うばかりの奥さんでは?という感じでしたが、奥さんとしたら旦那さんから「ああ言え、こう言えってお説教ばかり。私だって、あなたが思ってるほど馬鹿じゃないのに」という心境だったという。
結局、結婚したばかりの二匹はお互い歩み寄る努力が不足していたのですね。
奥さんの言い分を聞いて、旦那さんも自分ばかりがしゃべって、奥さんの話を聞いてあげていなかったことに気づきます。
最後は仲直りして、幸せな気持ちでにんじんケーキを食べました、というお話なんですが、これ、児童書でいいのかなあ?という気がすごくするんですが。
可愛らしい絵柄だけ見て手に取ると、肩透かしを食らうでしょうね。
子どもは楽しめるのかしら?
まあ、旦那さんと奥さんのとんちんかんなやりとりは声に出して読むと面白いかもしれませんね。
でも、なんとなく旦那さんの方が可哀そうな感じは否めません(^_^;)
罠にかかって這う這うの体で逃げ出したのに、パン屋さんでもしたたかに叩かれ、奥さんにまで叩かれるんですから。