長野まゆみさんの公式サイトにある通販耳猫風信社でお買い物をしました。
鉱石熱がまたぶり返してる現在、鉱石と言えばやっぱり長野先生よね、と久々にサイトを訪れたところ素敵な表紙の冊子を発見。
タイトルの『レモンとお月様』からしてもう既に私好み。
こちら先生の著書『銀河の通信所』の短編として書き下ろされたものだそう。
近年、長野先生の本はご無沙汰していましたが、やっぱりこの装丁を見ると好みのドストライクなんですよね。
記者が宮沢賢治ゆかりの人々を訪ねてインタビューし、それが銀河通信を通じて私たちに届けられるという内容だそうで、宮沢賢治好きなら読まねば、って感じです。
短編の『レモンとお月様』は少年時代の賢治と『一千一秒物語』で知られる小説家稲垣足穂(タルくん)が同級生で、レモン石けん盗難にまつわる事件を解決するというストーリーです。
ふたりが同級生という着想が面白いなあ。
でも、稲垣足穂という人、調べてみたら賢治と共通点が色々あるんですよね。
また、長野先生とも嗜好が似ている気がします。
本編の方も近々入手して読んでみたいと思います。
そして、もう一つ後日手に入れたのは『洞窟ホテル普及版』。
限定版として先に出たものの内容を少し変更して再販したものみたいです。
B5サイズ4枚からなる書き下ろし短編『洞窟ホテル』と長野先生が撮影・出力した謎のお写真3枚(洞窟ホテルのイメージ写真なのかな)、同じく先生撮影のポストカード、先生セレクトの切手、そして鉱石倶楽部より小さな小さなアベンチュリンのセットでした。
紙モノに対する長野先生のこだわりが詰まったセットという感じで、『洞窟ホテル』が印刷された紙もそれを包んでいる紙もとにかく使われている紙が謹製品というにふさわしい質感です。
『洞窟ホテル』の内容は本当にお話の一部を切り取った感じなので、なんとも言えないのですが、窓のない『洞窟ホテル』と呼ばれる海員宿舎にいるぼくに母からレモンがぎっしり並んだ小包が届きます。
その母に港町で人気のスーベニア洞窟真珠を見つけて母に送るように算段しているぼく。
ぼくがJupiter lineを航海しているころ、母の元に小函が届くだろうとあるのですが、そうするとこれは火星を旅するぼくの物語なんですね。
ポストカードにも意味ありげに「火星の基地における構造物には窓を付けることが出来ません」とありますし。
先生の中にはこのぼくの物語が既にあって、その一部がこうして公式サイト限定で発表されているのだとしたら、いつかすべての物語を読むことができるのでしょうか。
今後の展開も気になります。
謎のお写真も実は窓のない洞窟ホテルの疑似窓で、アベンチュリンは母のために僕が手に入れた洞窟真珠、そして一見赤い果実に見える切手も実は母が送ってくれたレモンを表しているんですね。
届いたときにはよく分からない組み合わせだなと思ったものが、物語を読んだ後にはなるほど、と謎が解けたみたいで、つくづくよく考えられたセットだなと。
長野先生の作品を文字だけでなく色々なモノと組み合わせて楽しみたい人にはうってつけのセットですね。
レモンの切手は小さなフレームに入れてみましたが、これをレモンとするならば背景は黄色の方がよかったのかなーってことだけが気になります(笑)