Secret GardenⅡ

アンティークや可愛いもの、そして奈良とつよしくんが大好きです。

鉱石標本函


『葡萄狩り』
夜半過ぎ、月の煌(かがや)く気配がして睛を醒ました
寝台をならべている従兄の、寝息は聞こえてこない
敷布(シィツ)のうえにある彼の白い手は、ちょうど月の反り具合に似ていた 
 霜が降りるかもしれないな、
ゆっくりと瞼をひらきながら、従兄はそう云う 
 起きてたのか、
 葡萄棚のようすを見てこよう、
初秋とはいえ、外はずいぶんと冷えていた
家の裏の小さな葡萄園で、蔓にむすばれた果実が実っている
従兄は葡萄をひと房、左手の爪で折りとった
白い手のひらに、静まった暗紫色の影 
 左手に載せていると甘くなり、右手ならば酸味が強くなる、
 どうして、
 さあ、たぶん、ここの葡萄が気随(きずい)なのさ
従兄とふたり、それぞれのべつの手のひらに葡萄を載せ、じっとしていた
睡りについた葡萄は、しっとりと重い
ほろほろと零れる月の光をあび、少しずつ紫が熟してゆく
瑞々しい果実の表面に、弓なりの白い月が映った
それがそのまま、従兄の紅唇(くちびる)にふれる

                        『鉱石倶楽部』長野まゆみより

耳猫風信社の通販で、再び鉱石を買ってしまいました。(確実に鉱石コレクターへの道を歩みつつある?)
手のひらサイズの鉱石標本函の中は、正座の座標カードに貼り付けられた5つの小さな鉱石たち。
1はアメジスト紫水晶)、2は高温石英、3は方解石、4は五角形ウミュリ化石、5は両睡水晶という鉱石だそう。
5つの中ではアメジストがもっとも知名度が高いと思いますが、こちらのアメジストは葡萄色というほど色が濃くなく、うっすらと紫、といった感じ。
お天気のいい日に光に翳してみると、また違って見えるのでしょうけど。

実物の鉱石を手元に、長野先生の『鉱石倶楽部』を読み返すと、また違った味わいがありますね。

鉱石倶楽部 (MOE BOOKS)

鉱石倶楽部 (MOE BOOKS)

先生の素敵な挿絵付き↓の短編『ゾロ博士の鉱物図鑑』で幕開けし、珍しい鉱石の写真と共に石から生まれた18の物語が掲載されている、視覚的にも色々と楽しめる本です。

長野先生がそれぞれの鉱石につけられた名前とその解説もシャレっけたっぷりで面白いですよ。
例えば、アメジストはこんな具合。

葡萄露【ぶどうつゆ】
房状の六角果をつける蔓性鉱物。
天然のものと、栽培のものがある。
水分量は高く、1カラットあたり、1オンス以上で、銀星露(銀星石のこと)と同じく、発酵させた果実酒の人気が高い。
これを菫星酒(ヴィオラ)と呼んでいる。
もちろん、摘みとったそのままを食することもでき、夜露が滴る真夜中に味わうことができれば最高である。
ただし、水分量が多いことで冷温には弱く、気温が下がればすぐに凍ってしまう。
寒い地方では霜に注意しなければならない。
また、熱帯地方も適さず、摘みとらないうちに熟してしまうことが多い。
ピオーネ地方は気温、湿度ともに最適で、たくさんの葡萄露が自生する。

アメジストを見て葡萄を連想し、そこから葡萄のような鉱石を考え付く、という辺りの思考がすごいですよねー。
でも、確かに鉱石を見ていると色々と空想が働く気はします。
何がどうやったらこんな色合いや形になるのかなーって、鉱石を見る度に、自然の持つ神秘性を感じちゃいますね。

今回は、このほかに、天文台の切手やEURO-MINERALという、おそらく鉱石の展示即売会のチケットやカードがおまけに付いてました。


鉱石倶楽部で販売されている鉱石は、実際に長野先生がこういったフェアに出向いて買い付けてるようですが、海外ではこんな大規模なイヴェントがあるんですねぇ。
鉱石の世界もなんだか奥が深そうですよ。

今日の切手

今回の鉱石倶楽部のテーマは少年天体観測、ということで、宇宙にまつわる切手コレクションからお気に入りを紹介。
以前にも書きましたが、私が切手の世界にハマッたのは父の趣味の延長。
そして、父と一緒に買った最初の切手が宇宙にまつわる切手だったんです。
思えば、小学生の時は女の子らしいものには一切興味を示さない、欲しい物と言えば、顕微鏡だの、天体望遠鏡だの、という天然理科少女を地で行くような子どもでしたねー。(今の可愛いモノ好きはこの頃の反動に違いない。^_^;)

今日の絵本&動物

昨日に引き続き、青い小鳥さん登場。
絵本はプゥコリンさんのところで購入した5冊セットのミニ絵本の中の1冊です。
タイトルもずばり『The Blue Bird's Story』。
この絵本に登場する小鳥さんが実体化すると、TABASAさんの小鳥さんになる、ってぐらいイメージですよね。